サラブレッド血統の科学

リーウェリンの平衡生産方式

サー・リー・ウェリンが1965年に「競走馬の生産」で発表した近代の生産理論である。
同系交配は遺伝力を増強させるが、雑種強勢力を減少させる。
これに反して、
異系交配は雑種強勢力を増強させるが、遺伝力を減少させる。
そこで、
最良の遺伝子の影響の伝達を刺激し、
同時に最大の活力をつけるにはどのような交配形式が良いかを論じている。

そして完全な異系交配と、濃厚な近親交配とを避ける平衡生産方式を提唱し、
交配においては、いずれも優秀な別系統のものを選び、
それによって、優良な優性遺伝子の影響を産駒に結合させるようにする。
さらに両親の先祖の1頭の卓越した種牡馬が共通にあるようなものを選んで、
交配がニックするようにすべきであるとしている。

ゴルトンの法則

サー・フランシスコ・ゴルトンの理論であり、
古い交配理論で、
遺伝学に基づいた法則ではない。

両親は子供を形づくる上に、
父母合わせて2分の1貢献しており、
4頭の祖父母は合わせて4分の1、
曾祖父母は合わせて8分の1、
以下同様に子供に影響を与えている。

この法則は、
競馬に出走しなかった馬の能力を推定するのにも用いられていた。

ブルース・ロウのフィガーシステム

19世紀の終わりにブルース・ロウ氏が発表した古い交配理論である。

イギリスのゼネラル・スタッド・ブックに出てくる根幹牝馬の子孫のうち、
イギリスのダービー、オークス、セントレジャーの勝ち馬を最も多く出したものを
第1族として、以下順に成績によって2・3族と番号(ファミリーナンバー)をつけた。

そして、1・2・3・4・5族を競走族、
3・8・11・12・14族から優秀な種牡馬が出ていることから、
種牡馬族と名づけた。

これらの族を巧みに組み合わせることによって
優秀な競走馬を生産するという理論であるが、
遺伝学的には否定されている。

フィッツラックの18.75%理論

古い交配理論で極めて単純な交配方法の1つである。

優秀な種牡馬の血量を18.75%になるように交配すれば、
良い効果が出るというものである。

例えば、父方3代前と母方4代前に同じ種牡馬Aがあるとすると、
父方から12.5%母方から6.25%の血量が入っており、
その合計が18.75%になる。

このように優秀な種牡馬の血量を18.75%にするように交配すると
よい産駒がえられる。

サラブレッドの三大種牡馬・三大始祖

現代のサラブレッドの牡系統をさかのぼると
バイヤリーターク(Byerley Turk)
ダーレーアラビラン(Darley Arabian)
ゴドルフィンアラビアン(Godolphin Arabian)
に辿りつくことから、
この3頭がサラブレッドの三大種牡馬や三大始祖といわれている。

しかし、サラブレッドがこの3頭の種牡馬のみから作られたのではなく、
3頭以外の種牡馬がサラブレッドの改良には、
多数関与していたと考えられている。

サラブレッドの個体識別と親子関係

サラブレッドとして認知され血統登録ができるためには、
個体
識別と 親子関係の確認が重要である

日本では個体識別には
毛色、白斑、旋毛などと合わせて、DNA型も使用されている

親子関係もDNA型で確認している。