サラブレッド血統の科学

芝ダート別・距離別の2着と3着のタイム差

芝ダート別・距離別に1着馬からの2着馬と3着馬のタイム差を
・レース数
・平均:タイム差平均(秒)
・信頼区間:タイム差平均+95%信頼区間(上限値)
を分析しましたので
予測タイム差から馬券検討する時のデータとしてご利用ください

分析に使ったデータは下記の通りです
1.2016年から2018年における8Rから12R
2.2着および3着馬の1着馬からのタイム差
3.東京・中山・京都・阪神の4大競馬場
4.良馬場

距離(芝) 2着のタイム差 3着のタイム差
レース数 平均(秒) 信頼区間 レース数 平均(秒) 信頼区間
1200m 124 0.11 0.132 123 0.22 0.247
1400m 146 0.14 0.167 147 0.26 0.297
1600m 272 0.14 0.154 268 0.25 0.275
1800m 221 0.15 0.170 222 0.28 0.312
2000m 211 0.16 0.181 213 0.31 0.340
2200m 61 0.16 0.198 61 0.33 0.388
2400m 98 0.17 0.197 99 0.34 0.388
2500m 28 0.13 0.171 28 0.24 0.300
3000m以上 16 0.18 0.267 16 0.38 0.493

 

距離(ダート) 2着のタイム差 3着のタイム差
レース数 平均(秒) 信頼区間 レース数 平均(秒) 信頼区間
1200m 144 0.18 0.211 140 0.31 0.349
1400m 153 0.18 0.215 153 0.34 0.380
1600m 75 0.22 0.280 75 0.37 0.439
1800m 167 0.22 0.262 168 0.41 0.457
1900m 23 0.28 0.387 23 0.47 0.589
2000m 25 0.20 0.297 25 0.44 0.604
2100m 38 0.24 0.321 38 0.43 0.522
2400m 13 0.25 0.376 13 0.48 0.676

参考:95%信頼区間とは、母平均が95%の確率でその範囲にあることを表しています

走能力の遺伝(8)「芝とダートの違いはあるのか?」

(8)「芝とダートの違いはあるのか?」

芝とダートは馬場の構造が異なるため
競走馬の走能力に与える影響は大きいと考えられます

芝とダートの両方を走った馬の走破タイムを使って
走能力の違いを分析した研究があります

その研究では
遺伝相関(遺伝部分だけを取り出して馬場の違いからくる走能力の関連性をみた値)は
低い(関連性は少ない)という結果が得られました

統計的には、芝とダートは別々に分析した方が良いということです

この研究結果から
競馬予想では、芝とダートの走破タイムは区別して別々にデータの分析をしています

(1)はじめに

(2)「走能力の遺伝には複数の遺伝子が関わる」

(3)「量的形質」

(4)「サラブレッドの遺伝と環境」

(5)「走能力の遺伝の考え方」

(6)「サラブレッドの能力は何で表す?」

(7)「競馬サイエンスでは指標に何を使っているか?」

走能力の遺伝(7)「競馬サイエンスでは指標に何を使っているか?」

(7)「競馬サイエンスでは指標に何を使っているか?」

競馬サイエンスでは走能力の指標として走破タイムを使っています
シリーズ(6)でも書いたように
サラブレッドの走能力を表す指標は
多くありますが
それぞれ短所や長所があります

何故、指標に走破タイムを使うのか?

競走成績を数年に渡って分析するには
指標として経年変化がないことが必要です

獲得賞金は、経済状況の変化による貨幣価値変動があったりするため
正確に比較ができません

その点、タイムは永続性があり、基準が変化しないという最大の長所があります

また、JRAには昭和50年代からの競走成績データに
走破タイムの膨大なビッグデータの蓄積があります

このような理由から走破タイムを指標として分析しています

(1)はじめに

(2)「走能力の遺伝には複数の遺伝子が関わる」

(3)「量的形質」

(4)「サラブレッドの遺伝と環境」

(5)「走能力の遺伝の考え方」

(6)「サラブレッドの能力は何で表す?」

走能力の遺伝(6)サラブレッドの能力は何で表す?

(6)「サラブレッドの能力は何で表す?」

サラブレッドの走能力を評価する上で
重要なことは走能力を何で表わす(指標)かがとても重要になります。

日本で取得できる走能力の指標としては

タイム

着順

着差

収得賞金(アーニング)

フリーハンデ

アーニング・インデックス

レーティング

外国では

パフォーマンス・レイト(アメリカの競馬雑誌に論文が紹介されています)

タイムフォーム・レイト

などがあります。

(1)はじめに

(2)「走能力の遺伝には複数の遺伝子が関わる」

(3)「量的形質」

(4)「サラブレッドの遺伝と環境」

(5)「走能力の遺伝の考え方」

 

走能力の遺伝(5)走能力の遺伝の考え方

(5)「走能力の遺伝の考え方」

走能力は
複数の遺伝子が関与しています
では
どのように遺伝するのかを簡略して説明します

まず、走能力に関わる遺伝子を
父が7個、母が5個持っている場合
父の遺伝子2個持つ精子と5個持つ精子と
母の遺伝子1個持つ卵子と4個持つ卵子ができるとします
(この別れ方は、偶然に左右され変化します)

これらの精子と卵子が受精すると次の4種類の子供ができます

精子2+卵子1=3

精子2+卵子4=6

精子5+卵子1=6

精子5+卵子4=9

このように同じ父と母から生まれても能力の異なる子供ができます

一方
子供全員の値の平均は

3+6+6+9=24÷4=6

父と母の平均は

7+5=12÷2=6

となり

父と母の走能力の平均以上には子に伝えられないことが理解できると思います

そこで
競走馬の場合、走能力の高い父馬と母馬の配合が重要になってきます

(1)はじめに

(2)「走能力の遺伝には複数の遺伝子が関わる」

(3)「量的形質」

(4)「サラブレッドの遺伝と環境」

走能力の遺伝(4)遺伝と環境

(4)「サラブレッドの遺伝と環境」

走能力は複数の遺伝子が関わる」で書いたように
走能力の遺伝には複数の遺伝子が関わるため
一つ一つの遺伝子が環境の影響を少しずつ受けて
トータルでは環境の影響が大きくなってきます。

このため
サラブレッドが両親から受け継いだ走能力を十分発揮するためには
日常の調教や飼養管理などの環境が重要となってきます。

遺伝的に優秀な走能力をいくら受け継いだとしても
環境が劣悪になれば
遺伝した能力は宝の持ち腐れとなります。

では
何を材料に環境の良し悪しを判断すればよいのでしょうか?

馬券の検討材料として把握できることは限定されますが
調教の状態は
追い切りタイムの変化でとらえられ
飼養管理については把握できない部分も多いですが
馬体重の増減を利用することも一つの方法かと思います。

競馬予想の情報だけでなく
これらの情報もチェックをする必要があります。

(1)はじめに

(2)「走能力の遺伝には複数の遺伝子が関わる」

(3)「量的形質」